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OpenRouter で会議の文字起こしを非公開に保つ

OpenRouter は文字起こしを数十のプロバイダーに振り分けることができ、その中にはプロンプトを保存するところもあります。誰があなたの文字起こしを見られるかは、アカウントの 3 つの設定と、必要に応じて EU 向けのベース URL で決まります。

光る一枚の紙が、オレンジ色の輪のついた密閉されたガラスのゲートのそばを漂っていき、あとには消えかけた火花のかすかな輪だけが残る

結論から: 会議の文字起こしを OpenRouter 経由で送るなら、OpenRouter アカウントのプライバシー設定をオンにし、同じ 2 つのフラグをボタンひとつで Autorec のリクエストにも追加しましょう。Zero Data Retention で、何も保存しないエンドポイントにだけ振り分けるよう制限し、学習のために入力を保存するプロバイダーをブロックすれば、残りも除外できます。OpenRouter 自身のデータ共有オプションはオフのままにします。EU 内だけで処理したい場合は、Autorec のベース URL を EU 向けエンドポイントに変えます。ここに書いたのは、2026 年 10 月時点で OpenRouter のドキュメントが説明している設定です。内容は変わるので、末尾のリンクを確認してください。

Autorec は、録画と文字起こしをあなたのマシンで行います。任意の AI 要約だけが、テキストを外部に送る工程です。文字起こしは、設定 → AI要約 で指定したエンドポイントに送られます。各リクエストに含まれるのは、要約プロンプト、文字起こし全文、モデル名、max_tokens、temperature、そして自分で追加したフィールド(後述)です。そのエンドポイントが OpenRouter なら、テキストは、あなたが名指しで選んだわけではないかもしれないモデルプロバイダーへ転送されます。プライバシー上の問題はそこにあります(この問題自体を避けたいなら、要約を自分のハードウェアで動かす方法を ローカル LLM の記事で紹介しています)。

OpenRouter の設定手順そのものは、OpenRouter で会議を要約するをご覧ください。この記事ではプライバシーだけを扱います。

OpenRouter 自体が保存するもの

OpenRouter のプライバシーに関するドキュメントによると、デフォルトではプロンプトや応答は保存されません。ただし、トークン数やレイテンシなど、リクエストごとのメタデータは保存されます。

オプトインの設定が 2 つあり、どちらもデフォルトでオフで、互いに独立しています。

  • Private Input & Output Logging(Observability の設定)は、プロンプトと補完結果を保存し、自分のログで読めるようにします。
  • OpenRouter Use of Inputs/Outputs(Privacy の設定)は、OpenRouter がプロンプトと補完結果を自社製品の改善に使うことを許可します。見返りとして、モデル利用料が 1% 割引になります。

機密性のある通話なら、私はこの割引は受けません。どちらもオフのままにしておきましょう。

同じページには注意書きがひとつあります。OpenRouter は分類のためにごく一部のプロンプトをサンプリングしており、それがレポートやモデルランキングに使われます。入力の利用に関する設定をオプトインしていない限り、このサンプルは匿名で保存され、あなたのアカウントとは結び付けられません。

本当の問題はプロバイダー

OpenRouter はリクエストをモデルプロバイダーに転送し、プロバイダーごとに独自のポリシーがあります。プロンプトをしばらく保存するところもあれば、学習に使う可能性があるところもあります。OpenRouter のルーティングのドキュメントによると、デフォルトは allow で、「ユーザーデータを一時的でない形で保存し、学習に使う可能性がある」プロバイダーも振り分け先の対象になります。

これを制御する設定が 2 つあり、どちらもアカウントのプライバシー設定(openrouter.ai/settings/privacy)にあります。

Zero Data Retention

ZDR を有効にすると、OpenRouter は Zero Data Retention ポリシーを持つエンドポイント、つまり推論後に何も保存しないエンドポイントにだけリクエストを回します。設定ページには、モデルグループごとに別々のトグルがあります。Anthropic、OpenAI、Google、xAI、そして「all other models」です。実際に使うグループ、またはすべてのグループをオンにしてください。

知っておきたい点が 2 つあります。

  • 条件を満たすエンドポイントが減るので、使えなくなるモデルや、裏側のプロバイダーが少なくなるモデルが出てきます。ドキュメントにも、ZDR をオンにすると ZDR 非対応のエンドポイントは「利用できない場合がある」と書かれています。切り替えたら、使うモデルで試してください。
  • ZDR が対象とするのは推論のルーティングだけです。Web 検索のようなプラグインやサーバーツールには、それぞれ別の保存ルールがあります。Autorec はこれらを使いませんが、同じキーを別の用途にも使うなら知っておく価値があります。

入力を学習に使うプロバイダーをブロックする

もうひとつの設定は、学習のために入力を保存するサードパーティのプロバイダーを無効にするものです。API では data_collection: "deny" に相当し、ユーザーデータを収集しないプロバイダーだけが使われます。2 つのうち厳しいのは ZDR ですが、両方オンにしてもかまいません。

Autorec でリクエストごとにフラグを付ける

OpenRouter は、同じ 2 つの制御をリクエストごとに provider オブジェクトでも受け付けます。Autorec ではこれを追加できます。設定 → AI要約 に Extra request fields (JSON) というテキストエリアがあり、ここに入れた JSON オブジェクトは、すべての要約リクエストのトップレベルにマージされます。OpenRouter のプリセットを選んだ状態で Use privacy settings をクリックすると、次の内容が入力されます。

{"provider": {"zdr": true, "data_collection": "deny"}}

自分で貼り付けてもかまいません。この欄は、フォーカスを外したときに保存されます。キー欄に OpenRouter の API キーを入れておく必要があるのは変わりません。

OpenRouter のプロバイダールーティングのドキュメントによると、2 つのフラグの働きは次のとおりです。

  • zdr: true は、Zero Data Retention ポリシーを持つエンドポイントにだけリクエストを回します。
  • data_collection: "deny" は、ユーザーデータを収集しないプロバイダーだけを使います。デフォルトは "allow" です。

Autorec はこの欄の内容を検証します。model、messages、stream は Autorec 自身が設定するため予約されており、これらを保存しようとすると「Not saved: autorec sets “model” itself.」(フィールド名の部分は該当するものに置き換わります)と表示されます。JSON オブジェクトでないものは「Not saved: this isn’t a JSON object.」として拒否されます。この欄では max_tokens と temperature を上書きできてしまうので、意図していない限り入れないでください。

アカウント側の設定もオンのままに

前のセクションで紹介したアカウント全体の設定は、それでもオンにしておくことをおすすめします。リクエスト単位の zdr は、制限を追加するだけです。OpenRouter はこれをアカウントやガードレールの設定と組み合わせて適用するので、設定を緩めることは決してありません。アカウント側の設定は、同じキーを使うほかのアプリすべてにも効きますし、うっかり欄を空にしたり、打ち間違いを貼り付けたりしたときの安全網にもなります。リクエスト単位のフラグは、代わりではなく、二重目の防御として扱いましょう。

チームで使うならガードレール

OpenRouter のガードレールは、API キーや組織のメンバーに割り当てるルールです。モデルグループごとの ZDR の強制、使えるプロバイダーやモデルの制限、キーが使えるリージョンのドメインの制限ができます。ガードレールは割り当てるまで何も強制せず、複数が適用される場合は、より厳しい結果が優先されます。

ひとりでキーを 1 本使うだけなら、アカウントの設定で十分です。複数人で組織を共有しているなら、Autorec 専用のキーを作ってガードレールを割り当てましょう。そうすれば、保護がメンバー各自の個人設定に左右されません。

EU 内だけで処理する

通話に EU のデータが含まれる場合、OpenRouter にはリージョン内ルーティングがあります。有効にするトグルはなく、ベース URL を変えるだけで使えます。

https://eu.openrouter.ai/api/v1

Autorec では、設定 → AI要約 を開き、プロバイダーに OpenRouter を選んで APIベースURL 欄を編集します。普通のテキスト欄なので、プリセットの値を上書きできます。API キーとモデル ID はそのままです。

ドキュメントに書かれている内容は次のとおりです。

  • プラン。 OpenRouter の Business プランと Enterprise プランで利用できます。Business へのアップグレードは、Settings の Manage plan からセルフサービスで行えます。
  • 失敗時は閉じる側に倒れる。 EU ドメインへのリクエストは、リージョン内(EU/EEA、英国、スイス)のプロバイダーにしか送られません。モデルを提供できるプロバイダーがない場合はエラーになり、黙って別のリージョンにフォールバックすることはありません。EU のカタログは、グローバルのカタログの一部です。
  • すべてが EU にとどまるわけではない。 アカウント情報、請求記録、認証データ、セキュリティログ、不正利用監視のメタデータは、引き続き米国で処理される場合があります。
  • DPA。 OpenRouter は、標準契約条項(SCC)を含む GDPR のデータ処理契約を提供しています。API のペイロードを EU 内だけで処理するための追加条項もありますが、適用されるのは書面で選択した場合だけで、自動では適用されません。
  • ZDR と組み合わせる。 ドキュメントは、リージョン内ルーティングを Zero Data Retention と併用することを推奨しています。リージョンはどこで処理されるかを、ZDR は何かが保存されるかどうかを制御します。
  • 強制。 ガードレールの allowed data regions 設定を使うと、誤ったドメインから来たリクエストを拒否できます。

リージョン内ルーティングは、あなた自身のクラウドアカウントまで移動してくれるわけでもありません。Bedrock、Azure、Vertex で自分のキーを持ち込んでいるなら、それらのデプロイを適切なリージョンに置く必要があります。DPA が何をカバーし、何をカバーしないかも含め、コンプライアンス全体の話は GDPR の記事で取り上げています。

チェックリスト

  1. OpenRouter で Settings, Privacy を開き、使うモデルグループごとに ZDR を有効にする。
  2. 同じ画面で、学習のために入力を保存するプロバイダーを無効にする。
  3. OpenRouter Use of Inputs/Outputs(1% 割引)と Private Input & Output Logging はオフのままにする。
  4. Autorec で 設定 → AI要約 を開き、OpenRouter を選んで、Extra request fields の下にある Use privacy settings をクリックする。
  5. 任意(EU 関連の業務向け):Business または Enterprise プランで、Autorec の APIベースURL を https://eu.openrouter.ai/api/v1 に変更し、可能ならデータリージョンのガードレールを追加する。
  6. チームの場合:Autorec 専用のキーを作り、ガードレールを割り当てる。
  7. 消しても困らない録画でテスト要約を実行する。「no endpoints」というメッセージのエラーが出たら、そのモデルには ZDR 対応(またはリージョン内)のプロバイダーがありません。別のモデルを選んでください。

これで解決しないこと

これらの設定は、複数の企業の約束の上に成り立っています。ZDR は、プロバイダーが自社のポリシーを正確に申告していることが前提ですし、文字起こしがネットワークを越えて他人のサーバーに渡ることに変わりはありません。「何も保存しない」では足りない通話なら、ローカルで要約するか、要約自体をやめましょう。いずれにしても文字起こしはディスク上のプレーンテキストファイルで、要約の工程は任意です。

出典(2026 年 10 月確認):OpenRouter のドキュメントより、データ収集とログ、Zero Data Retention、プロバイダーの選択、リージョン内ルーティング、ガードレール。

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