OpenRouter で会議を要約する:キーひとつで、どのモデルでも
Autorec の AI 要約を OpenRouter で 5 ステップで設定し、要約 1 回あたりのコストを確かめます。安いモデルなら 1 セントにも届かず、最先端モデルでも数セントです。

Autorec は、通話の録画と文字起こしをあなた自身のマシンで行います。言語モデルとやり取りするのは、任意で使う要約の工程だけで、どのモデルを使うかはあなたが選べます。比べてみるためだけに OpenAI、Anthropic、Google と順番にアカウントを作りたくないなら、OpenRouter を使えば、API キーも請求もひとつにまとまります。
OpenRouter をひとことで
OpenRouter は API ゲートウェイです。https://openrouter.ai/api/v1 に OpenAI 形式のリクエストを送り、openai/gpt-4o-mini や anthropic/claude-sonnet-5.5 のようにモデルを指定すると、そのモデルを提供しているプロバイダーに転送してくれます。Autorec も同じチャット補完の形式を使うので、OpenRouter はそのまま接続先として使えます。OpenRouter の FAQ によると、推論そのものに上乗せ料金はなく、手数料はクレジット購入時にかかります(執筆時点で、カードは 5.5%、暗号資産は 5%)。
トレードオフもあります。文字起こしのテキストはマシンの外に出て、OpenRouter を経由し、モデルを動かしているプロバイダーへ届きます。音声と映像は出ません。それが気になる通話なら、モデルを選ぶ前に OpenRouter のプライバシー面を読むか、ローカルモデルを使ってください。
Autorec での設定
- OpenRouter のアカウントを作成し、クレジットを追加します。チャージはアカウント設定のクレジットのページで行います。下に挙げる料金なら、数ドルでかなり長く持ちます。
- API キーを作成します。OpenRouter のアカウント設定にあるキーのセクションで作成し、安全な場所にコピーしておきます。キーが表示されるのは一度だけです。
- Autorec で 設定 を開き、AI要約 までスクロールします。プロバイダー で Aggregators グループの OpenRouter を選びます。プリセットにより API ベース URL(
https://openrouter.ai/api/v1)とデフォルトのモデルが入力されます。 - キーを APIキー に貼り付け、モデル に使いたいモデルを指定します。モデル名は OpenRouter の
vendor/model形式で、たとえばanthropic/claude-haiku-4.5です。 - 設定を保存 をクリックします。あとは文字起こし済みの録画を開いて 要約を生成 を押すか、文字起こし後に自動要約 をオンにして自動で処理させます。

要約は、ライブラリの動画の隣に表示されます。デフォルトのプロンプトが求めるのは、タイトル、一行の要点、「決定事項」セクション、そして発言があれば担当者付きの「アクションアイテム」セクションです。アプリの表示言語が日本語なら要約も日本語で返ってきますし、Whisper は日本語の会議もそのまま文字起こしします。プロンプトは書き換えられます。方法はアクションアイテム用プロンプトの記事で紹介しています。

Autorec が実際に送るもの
Autorec は、システムプロンプトと文字起こしを 2 つのチャットメッセージとして送り、返答の長さを 最大要約長(トークン) で設定した値以内に抑えるよう指定します(デフォルトは 1000、指定できる範囲は 100〜2000)。
文字起こしは全文が送られます。切り詰められるのは非常に長い通話(およそ 40 万文字、話し言葉にして約 8 時間超)だけで、その場合は末尾に「[Transcript truncated]」という印が付きます。
会議の文字起こしに向いているモデル
1 時間分の文字起こしは約 11,500 トークンなので、以下のモデルならどれも余裕があります(いずれもコンテキストウィンドウは 128k 以上)。違いが出るのは、指定した形式にどれだけ従うかと、整っていない話し言葉をどう処理するかです。
- 安くて十分:
openai/gpt-4o-mini(プリセットのデフォルト)とdeepseek/deepseek-v4.1-flash。どちらも、朝会やクライアントとの通話なら、すっきりした要点と箇条書きを出してくれます。担当者の取り違えはときどきあると考えておきましょう。 - ミドルレンジ:
anthropic/claude-sonnet-5.5。本当の決定事項と、誰かが出しただけの提案とを区別するのが得意で、複数人の発言が重なっても担当者を取り違えにくくなります。 - 最先端:
anthropic/claude-opus-5.5。結果をもとに動く重要な通話なら試す価値があります。日常の会議では、ミドルレンジとの差はわずかです。
これは、こうした価格帯のモデルがこの種のタスクで普段どう振る舞うかについての私の見立てで、ベンチマークではありません。実際の文字起こしを 2 つのモデルにかけて比べてみてください。安いモデルなら、それにかかる費用は 1 セントにも満たない額です。
実用的なヒントをひとつ。推論(reasoning)モデルは、出力の上限の一部を思考トークンに使うことがあります。要約が空で返ってきたり途中で切れたりしたら、最大要約長(トークン) を上げるか、推論を行わないモデルを選んでください。
要約 1 回あたりのコスト
前提条件:1 時間の会議を 1 分あたり 130〜150 語(英語)で話すと、およそ 8,000〜9,000 語、つまり約 11,500 トークンになります。デフォルトのプロンプト約 110 トークンを加えると、入力は 11,600 トークンです。返ってくる要約は 500 トークンと仮定します。料金は 2026 年 10 月時点の OpenRouter のモデル一覧にある 100 万トークンあたりの価格です。
| モデル | 入力 / 出力(100 万トークンあたり) | 要約 1 回あたり(入力 11,600、出力 500) |
|---|---|---|
deepseek/deepseek-v4.1-flash | $0.0472 / $0.12 | 約 $0.0006 |
openai/gpt-4o-mini | $0.15 / $0.60 | 約 $0.002 |
anthropic/claude-sonnet-5.5 | $2 / $10 | 約 $0.028 |
anthropic/claude-opus-5.5 | $4 / $20 | 約 $0.056 |
1 行だけ計算してみます。Sonnet なら入力が 11,600 × $2 / 1,000,000 = $0.0232、出力が 500 × $10 / 1,000,000 = $0.0050 で、合計 $0.0282 です。
1 時間の会議 100 回分で、DeepSeek なら約 6 セント、GPT-4o mini なら 20 セント、Sonnet なら $2.82、Opus なら $5.64 です。コストの大半は入力なので、通話が長くなればそのぶん高くなり、出力は変わりません。
無料モデル
OpenRouter には、google/gemma-4-31b-it:free のように :free の付いたモデルがあります。OpenRouter の FAQ によると、無料での利用はクレジットがなければ 1 日 50 リクエストまで、$10 以上のクレジットを購入すれば 1 日 1,000 リクエストまでです。1 日に数回の会議なら十分な量です。
プライバシーについては、無料エンドポイントがプロンプトをどう扱うかを説明した記述を、OpenRouter のドキュメントで見つけられませんでした。書かれているのは、アカウントには有料モデルと無料モデルで別々のプライバシー設定があること、そしてデータを学習に使う可能性のあるプロバイダーにリクエストを回すかどうかを制御できることです。自分でその設定を確認するまでは、無料エンドポイントは送った内容を保存したり学習に使ったりする可能性があるものと考え、クライアントとの通話は流さないでください。設定の手順は OpenRouter のプライバシー記事で説明しています。
Autorec の AI要約には Extra request fields (JSON) 欄もあります。OpenRouter のプリセットを選んだ状態で Use privacy settings ボタンを押すと、{"provider": {"zdr": true, "data_collection": "deny"}} が入力されます。これは、データを収集しないゼロデータ保持のプロバイダーにだけリクエストを回すよう OpenRouter に求める指定です。その効果と、それによって何が制限されるかはプライバシー記事で説明しています。
手始めにおすすめの設定
まずはプリセットのデフォルトである openai/gpt-4o-mini で、自分の朝会を 1 回要約してみてください。担当者や決定事項がずれていたら、anthropic/claude-sonnet-5.5 に切り替えます。Opus は、アクションアイテムの見落としが実際の損失につながるような通話のために取っておきましょう。切り替えは設定の 1 項目だけで、キーはそのまま使えます。
Autorec は買い切りなので、継続的にかかるコストは要約だけです。アプリでほかに何ができるかは機能を、各設定については設定のドキュメントをご覧ください。
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OpenRouter で会議の文字起こしを非公開に保つ
OpenRouter は文字起こしを数十のプロバイダーに振り分けることができ、その中にはプロンプトを保存するところもあります。誰があなたの文字起こしを見られるかは、アカウントの 3 つの設定と、必要に応じて EU 向けのベース URL で決まります。
ローカル LLM で会議を要約する:Ollama と LM Studio
要約に使うモデルも自分のマシンで動かしましょう。Ollama か LM Studio を用意して Autorec の接続先に指定すれば、録画も文字起こしも要約も、パソコンの外に一切出ません。
会議の文字起こしからアクションアイテムと担当者を引き出す
Autorec の組み込み要約プロンプトは、すでに決定事項とアクションアイテムを書き出します。そのプロンプトが何を求めているか、担当者と期限やフォローアップメールを得るために貼り付けて使えるプロンプト 2 つ、そして担当者は誰かが名前を口にしたときにしか出てこない理由を説明します。